「愛のようだ」と免許の取得。
あらすじ
40歳にして免許を取得した戸倉は、友人須崎、その恋人琴美の3人で、
伊勢神宮へドライブに出かけた。本当の願掛けにいくのだ。車中で交わすとりとめのないおしゃべり、流れる景色、
ひととき同じ目的地があるということ...
26歳、社会人。
この年になって今更、合宿免許に通っている。
周りは学生だらけ。
そんな私に弟がプレゼントしてくれたのがこの本だった。
プロローグは、主人公が仮免試験を受けているところから始まる。
坂道発進とかS字とか、教習所に通ったことのある人にしかわからない言葉が散りばめられてる。
あ〜早く免許とりたい。。
本作の帯には、泣ける恋愛小説と書いてあるけど、私は正直特に、というか全く泣けはしなかった。
というか、むしろ下手に泣かせようとしていないところがこの本のいいところだと思う。
主人公の恋愛感情の変化も、それを取り巻く環境も激変はしない。
むしろ淡々と彼と車の中に起こる出来事を綴っている。
色々な登場人物が出てきて、それぞれに何かが起きて。
でも案外みんな淡々としていて。
停車して発進する、また停車して発進する、車とはそういうものだ。停車して、こうして再び発進するそのつど、これまでの自分たちのやりとりがすべて過去のものだという実感が強まる。例えばもう、永峰は照れくさそうではないし、お騒がせの神山の姿はないし、呪いのような不条理なクラクションにも脅かされてもいない。
(中略)
だってもう、あのときとは景色が違う。あのときとも、あのときとも。車に乗っている限り。
すべては、うつりゆく。
良くも悪くも変わっていく。
車を走らせるのは人生みたいだ。
ということで、私の合宿免許生活もあと5日。
免許取れたらどこへ行こう?